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大学職員の注意点:安定志向の落とし穴とは

大学職員って聞くと、なんとなく「勝ち組」っぽいイメージがある。安定してる、高収入っぽい、土日休みっぽい、福利厚生が手厚そう。確かにそういう面はある。俺も一時期、本気で大学職員を目指して就活していた時期があるし、今も周りに大学職員やってる知り合いは多い。でも、実情を聞けば聞くほど、「そこまでいいか?」ってなるのが正直な感想。

この記事では、大学職員のリアルな側面を、知人たちの話や調査データ、自分の経験をもとに掘り下げていく。大学職員を目指してる人、なんとなく公務員的な安定に憧れてる人には、冷静に考える材料として読んでもらいたい。

目次

表面上は確かに安定

まず、確かに安定してる。大きな大学になればなるほど、倒産のリスクも低い。給与も地方の中小企業よりはいいし、ボーナスも出る。定時で帰れる日もそれなりにあるし、部署によってはホワイト寄り。

だけど、それはあくまで「外から見た大学職員」。中に入ってみると、部署ガチャ・人間関係ガチャ・学部の方針ガチャ……つまり運要素がかなり大きい。

新卒採用枠の狭さ

大学職員の新卒採用は狭き門。倍率は数百倍にもなることがあり、難関大卒や院卒が当たり前の世界。しかも採用人数自体が少なく、ポジションの空きが出るのを待つ構造になっている。だから、新卒一括採用というよりは、経験者採用や紹介採用の比重が大きい。新卒で目指す場合は、相当な準備と運が必要。

今後、大学職員の仕事もAIやDXの影響を強く受ける。すでに教務系の業務はクラウドシステムによって自動化が進んでいるし、単純な事務処理は減る一方で、求められるのは高度な判断力と調整力。従来の「なんとなく事務職」としての大学職員は減っていき、「総合職」「広報・企画職」「IR職」など、専門スキルをもった人材に絞られていく可能性がある。つまり、のんびり仕事したい人には今後ますます厳しくなる。

部署によって天と地の差

教務課や学生支援課など、学生と関わる部署は、イベントやトラブル対応で夜遅くまで残ることも多い。一方で、研究支援系や財務系の部署は定型業務が中心で比較的落ち着いている。いずれも時期によって変動がある。

異動は数年単位であるけど、「次は楽な部署に行けるかどうか」は完全に運。俺の知り合いの中には、10年近く学生対応メインの部署にいて、イベントのたびに休日出勤&残業で疲弊している人もいる。

大学によっても天と地の差

「大学職員」とひとことで言っても、どの大学に勤めているかで待遇や働き方はまったく違う。まず国公立大学は、給与水準が公務員に準拠しているため年収が控えめ。一方で福利厚生はしっかりしており、休暇制度などは比較的整っている。

私立大学になると話は大きく変わる。早慶クラスのマンモス大学では、給与水準が高いだけでなく、労働環境もある程度整っていることが多い。だがその分、求められる業務レベルも高く、学生数が膨大なため現場は常に多忙。入試、学費、広報など各部署の責任も重く、気を抜けない日々が続く。

問題は中堅からFラン大学と呼ばれる層。ここは本当に玉石混交。予算が限られているため人手不足が常態化し、1人で2〜3部署分の仕事を任されることもある。給与は安く、昇給も見込めない上に、将来的な経営リスクも高い。業務内容は他大学と大差ないのに待遇は雲泥の差という構造が横たわっている。

このように、同じ「大学職員」でも、所属大学によって待遇もキャリアの見通しも大きく異なる。大学の名前だけで判断せず、大学の財務状況や学生募集まで見た上で判断する必要がある。

学生対応のストレスは想像以上

意外と知られてないのが、学生対応のストレス。特に最近は、クレームを入れてくる保護者も増えていて、まるでカスタマーサポート状態。病院の紹介状やメンタルの相談まで来る。大学職員って、教育者ではないのに、限りなく教育に近い責任を背負わされる場面も多い。

学内の権力構造もなかなか闇

教授>事務職員という構図が基本。これが意外とやっかい。何か新しい取り組みをしようとしても、教授会の了承がなければ進まない。しかも、教授がクセ者だったりすると、事務職員は板挟み。会議もやたらと多く、話が全然進まない。

大学職員は大学の中で肩身が狭い(こともある)

大学という組織は、研究者=教授を中心に回っている文化が強い。事務職員はサポート役と見なされ、下手したら大学院生からすら軽視される場面もある。もちろん職場によるが、上下関係がはっきりしている職場では、声をあげづらくなる雰囲気があるのも事実。学内イベントや会議で、事務職員が「いて当然」「動いて当然」と思われている空気感にモヤモヤする人も少なくない。

学生・教授と裁判沙汰に!?

たとえば、成績評価や退学処分に関するクレーム、学内での事故対応、研究費の執行ミス、ハラスメントの窓口対応など、対応を一歩誤れば訴訟や外部通報につながることもある。実際に、学生から大学(あるいは職員個人)に対して訴訟が起きるケースは珍しくない。

また、教授との関係でも油断できない。教授が職員に対してパワハラを行い、問題化した場合、その対応に当たった職員自身が矢面に立たされることもあるし、逆に教授が職員の不作為を理由に責任追及してくるケースもある。大学内の“身内トラブル”が裁判という公の場に持ち込まれることがある、という現実は、あまりにも知られていない。

こうしたリスクに対して、十分な法務サポートがあるとは限らず、現場レベルで対応を迫られることもしばしば。誰もが想像する「穏やかで平和な職場」とは裏腹に、緊張感のある対応が求められるのが大学職員の実情なのだ。

昇進ルートが狭く、そこまで給料は高くない

大学職員って、中に入るとわかるけど、課長や部長クラスになるにはかなりの年功序列。実力主義ではない。どれだけ成果を上げても、若いうちは主任止まりのケースが多い。30代でバリバリやっても、40代の「順番待ち」の壁にぶつかる。

大学職員=高給取りのイメージがあるけど、実際はそうでもない。初任給は民間企業よりちょい上くらい。昇給は遅く、年収で言うと30代前半で400〜450万程度。国立大学なんかは、公務員準拠の給与テーブルだからむしろ安い部類。私立大も、法人によって差が大きく「高収入」は一部の話で、ほとんどは「平均的」と捉えておくとよい。少子化時代に大学の収益が上がる要素があるか考えてみてほしい。

暇そうで暇じゃない

長期休暇があるイメージも強いけど、実際はその期間に集中して事務作業や来年度準備が詰め込まれる。学生がいない分、仕事がはかどるというだけで、決して暇になるわけじゃない。むしろ年末年始や春休みは業務が立て込むことも。加えて、土日にオープンキャンパスや入試対応が入ることも少なくない。特に共通テストを含めた入試業務の時期はピリピリムードで、1ミスが命取り。受験生の人生がかかっている分、緊張感も桁違いで、笑えないプレッシャーがのしかかる。

転職が難しい

大学職員からのキャリアチェンジは、実はけっこう難しい。専門的なスキルが付きづらく、汎用性の高い経験が少ない。職場の外に出ようとしたとき、「大学の中でしか通用しない人材」になってることも珍しくない。

大学職員おすすめしてる人はやばい

大学職員をやたらとおすすめしてくる人には要注意。確かに表面的な安定感はある。でも、今の大学業界は少子化の影響をもろに受けていて、経営が傾いている私立大学も少なくない。今後、統廃合や人員削減が起きる可能性だって十分ある。大学を「安住の地」と考えるのはリスキーすぎる。安定を求めて飛び込んだはずの場所で、逆に不安定な未来を迎えることもあり得る。

大学がブラック化しているのに、世間はホワイトと思い込んでいる

これは精神的にかなりキツいポイントの一つ。大学職員の業務負担はここ10年で格段に増えている。少子化で入試広報にかかるプレッシャーは大きくなり、国からの補助金は減り、財務的にも運営が厳しくなる中で「少ない人員で回せ」が当たり前になってきた。にもかかわらず、世間の大学職員に対するイメージは「のんびりしてそう」「夏休み長そう」「座ってるだけで給料もらえてそう」みたいなものばかり。このギャップが、メンタルにくる。

実際には、夜遅くまで残業したり、休日出勤でイベント対応したり、ストレスフルな学生・保護者対応で消耗している職員も多い。でも、それを外で話しても共感されない。「え、大学職員なのに?」「楽じゃん?」と切り返されて終わる。これは本当にしんどい。自分の疲労や努力が、まったく理解されないどころか“甘え”として片付けられてしまう。

こうなると、自分の働き方やストレスに対して疑問を持つことすら難しくなる。誰にも相談できず、ただただ我慢して、知らぬ間に心が摩耗していく。だからこそ、この章のタイトルの通り、大学職員の“実態”と“外からの認識”とのズレを、もっと多くの人に知ってほしいと思う。

茹でガエルにならないために

大学職員の世界には、“じわじわ悪化”する環境に気づかないまま、気がつけば消耗している人が多い。最初は「まぁ忙しいけど安定してるし…」と思っていたのが、年々業務が増え、権限は変わらず、責任だけが重くなる。気がつけば、自分の裁量がないままストレスだけが積み上がり、でも外では「楽でしょ?」と言われる。これが続くと、まさに“茹でガエル”状態になる。

「今いる場所が異常かも」と気づくためには、外の視点が必要だ。大学業界以外の働き方、生産性の高い現場、フレックスやリモートが浸透している環境……そういう情報にあえて触れること。転職までは考えていなくても、自分の働き方を相対化できるだけで、思考停止からは逃れられる。

また、スキルを磨く意識も重要。語学やIT、マネジメント、人事評価制度など、大学の外でも通用する力を少しずつ身につけておくこと。もしもの時に備えるという意味でも、自分のキャリアの視野を広げることが、茹でガエル化を防ぐ唯一の手段だ。

俺の結論

大学職員という肩書きには魅力がある。だけど、実態はそこまでバラ色じゃない。部署や人間関係に左右されやすく、業務の幅も広く、地味にストレスも多い。安定はしてるけど、その安定の裏には我慢と忍耐と、思った以上の調整力が求められる。

大学職員を「楽で高給な公務員っぽい仕事」と考えているなら、それは幻想。地に足をつけて、「自分がその環境で何を得たいのか」を考えた上で選ぶべき仕事だと思う。もう一度言うが、少子化時代に大学は儲かる産業ではないとみなさんならわかるだろう。

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